復讐の行く末。 よふかしのうた 第156夜「さようなら」 このエントリーをはてなブックマークに追加 復讐の行く末。 よふかしのうた 第156夜「さようなら」

よふかしのうた 第156夜「さようなら」

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目代さんが星見キクに質問したのは、
「どうして私の父じゃ駄目だったんだ......?」
吸血鬼が人間に戻るには、人間に恋をして血を吸うこと。

じゃあ、どうして目代さんの父の血を吸って、人間に戻らなかったのか。
星見キクは、何の確証もなく手を出して血を吸った。
それが目代さんには許せなかった。

そりゃあ、自分の父親に遊び半分の女が手を出してきて、
家庭崩壊したようなもんだから、娘が相手の女にも怒りを覚えるわ。

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この10年、ずっと星見キクのことを考えてきた。
けど、目代さんは自分の感情がわからなくなってきた。
何を聞けば、何を知れば、自分が満足するのかわからなかった。

目代さんから星見キクへの殺意だけがあれば、
それを達成して、一時的な満足感は得られたのかもしれない。
でも、今は、殺すことじゃ、駄目なんだと目代さんも理解してる。

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星見キクは去り際に、「目代キョウコ」と名前を呼んで、目代さんに何かを伝えた。
内容はわからないけど、たぶん目代さんのお父さんから聞いたことや
血を吸った時に得た感情、記憶みたいなことを伝えたのかな。

謝罪と「さようなら」を告げて去りゆく星見キクに、
目代さんは「さようなら」と返してその背中を見送った。

星見キクを、追いかけたり声を掛けたりしなかったから、目代さんの復讐はここまでか。

よふかしのうた(14): 少年サンデーコミックス コミック 2022/12/16