感情と熱量による奇跡がそこにあった。プロジェクト東京ドールズ このエントリーをはてなブックマークに追加 感情と熱量による奇跡がそこにあった。プロジェクト東京ドールズ

プロジェクト東京ドールズが2021年10月29日12時でサービス終了しました。

サービス開始から4年ちょっと。
正直、よくやったと思ってます。
リリース当時から、そこまで大きな話題にはならなかったゲームです。
Twitterの自分のタイムラインで、自分以外やってる人を見かけない、
演者さん相手にしか感想を言えないゲームです。

だから、よくやったと思っています。

いろいろとソシャゲを手を出してきたけど、
シナリオなどを含めて、一番自分の好みに合っていたゲームです。

前述のように「よくやったゲーム」です。
サービス開始してから一年、半年と持たないソシャゲの中で、
プロジェクト東京ドールズはよくやったと思っています。

FGOやアイマスなどのようなビックタイトルではありません。
だから、毎年、周年配信が来る度に「次はわからないかもしれない」そんな気持ちでいました。

4周年を迎えられたのは、奇跡だと思っていました。
次の五周年は無理かなと思っていました。
わかっていた部分もありましたが、それでもいざサービス終了が告げられると、
悲しいものがありましたね。

この記事では、私がプロジェクト東京ドールズと向き合ってきた感想を残しておこうと思います。

メインストーリー

プロジェクト東京ドールズの主なテーマだと思っているのは「感情と熱量」だと思っています。

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サクラは何度でも死ぬ。
いや、本当に、何度でも死ぬ。
この作品を説明する場合、PVやプロローグを紹介することが多く、
そうなると「人間」から「ドール」になる、サクラの死が何度も紹介されます。

この作品は、メインキャラの一人である「サクラ」の死とそれを目撃したプレイヤー(ゲーム内では「マスター」と呼称される)から始まります。

話としては、
「普通に暮らしている人たちが知らないところで、異形の者(ピグマリオン)たちと戦う少女達がいる」
といった感じです。

そもそもドールとはなにか。
公式HPの説明から引用すると、

「命と超常の力の代償として感情と記憶を捧げる事で
 彼女たちは人形(ドール)として生まれ変わる」

となります。
前に書いてるようにサクラは主人公の目の前で死にかけ、
そこに「ギア」と呼ばれるオーパーツを差し込まれ、
ドールに生まれ変わったわけです。

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ドールズと呼ばれるアイドルグループのメンバーも、
同じようにドールという存在だった。

各メインシナリオは、重たくて、辛くて、でも、とてつもない熱量があるものだと思っています。
それらを表現するのに、キャラクターのモーション、
サクラ役の本渡楓さんを始めとした声優さんたちの演技、
画面演出、音楽、それらがすごく調和していたと思う。

後述もしますが、特に声優さんたちの演技の素晴らしさがよくわかるメインストーリーです。
ストーリーの話を出すと、他のソシャゲとの優劣もあると思いますが、
それはそれです。
ひとそれぞれ好みがありますから。

メインストーリーはちゃんとよくできていると思っていました。

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前述したサクラの死からドールになったばかりのサクラが強敵に勝つことができた。
サクラがドールになってから、最初の強敵であるリーパーに勝つまでは、
すごくわかりやすい導入の話だったと思います。

サクラ以外のドールにも焦点を当てられながら話は進んでいきます。

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ナンバーワンドールでありつづけようとするミサキ。
どうして彼女がナンバーワンでいようとするのか、
それを「感情」を燃やして、空を舞うピグマリオンを撃ち落とすシーンは、
最高に熱くなりました。
ロボットアニメや熱血系でよくある、足りない分は自分自身で補うということをやってみせます。
このシーンは本当にミサキ役のLynnさんの演技が素晴らしい。

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最初期の方でドールになったシオリが背負うものの話では、
彼女がドールになるまでに実験で犠牲になった少女たちへの贖罪が語られました。
シオリの話が語られるCase02「奇跡の代行者」からより深く暗く物語が進みます。
それと同時に「神の肢体」「神滅の槍」など物語の核心に繋がるキーワードも増えてきます。
それは、ドールと異形であるピグマリオン、
そして「デウス」「エクス」「マキナ」の名前を持つ天使、
見え隠れする神の存在、こういったものも開示されることになります。

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最初のドールである「ユキ」と同じチームであるアヤとヤマダが、
失われた彼女を取り戻そうとする姿は、メンバーの絆を強く感じましたし、
チームだけでなく、ドールズのユキを愛する気持ちを感じられた。

また感情表現が希薄なユキが自分を取り戻してくれたことに、
愛されていることに涙するシーンは感動敵でした。

特にこのチームCは、CandyStarが印象的ですね。


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ドールズとは別のアイドルユニットNumbersの登場。
もちろんNumberSもドールズと同じように国が所有する兵器。
そんなNumberSに対抗意識を持つレイナのアイドルとしての在り方も見れた。

そして、プレイヤーであるマスターの存在は「奇跡の代行者」という役割ですね。
各章の終盤、逆転に至る一手、それを実現する奇跡を、ドールの代わりに起こす存在です。
この「プロジェクト東京ドールズ」において奇跡をおこすには「感情と熱量」が大事になります。
感情を燃やし、熱量として、それを使って、奇跡を呼ぶ。
マスターが起こしたさまざまな奇跡に何の代償もないわけではなく、
主人公もCase02の3章「AMPHIRGEATER」では、
その存在が世界から消えてしまうということもあった。

感情と熱量、そして奇跡。
それが渦巻きながら、話は進んでいきます。
ゲーム内では語られることがなかったドールハウス所長の「斑目セツナ」と、
新宿のアトラクシアで助けた少女であるルリの意味不明な部分、
いろいろと知っていそうな小鳥遊防衛大臣。
消えてしまった新宿を取り戻せるのか?

さあ、ここから物語の秘密を暴き、物語の核心へ。
というところで、このゲームはサービス終了となりました。

幸いとも言えるのは、メインストーリーの残りをノベライズとして描いてくれることです。

ただ、それは、私にとっては不十分です。
この作品は、
声優さんの演技、演出、音楽、歌、
そしてゲーム内のキャラクターが合わさって、完成します。

ノベライズは有り難いことです。
でも、それは本来あるはずだった要素を削ぎ落としてしまったものです。
受け取れる感情が減ってしまうのです。
こればかりは残念です。


記憶の奪還

メインストーリー以外のコンテンツとしてあげられるのは、記憶の奪還です。
各ドールは、人間だった頃の記憶をなくしています。
この記憶の奪還では、その失われた記憶を取り戻して、
なぜ自分は死んだのか、人間だった頃に何を思っていたのか、自分の家族や自身の本名を知ります。

記憶の奪還で描かれる各キャラのメインストーリーとは違う一面を見ることになります。

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この記憶奪還は、基本的に重たいストーリーです。
本編よりも、よりダークで重苦しいですね。
なにせ、それぞれのドールが、なぜ死ぬことになったのか、
何を思って人の身を捨てて、ドールになることを選択したのか。
それを知ることになるんですから。
物語が進む中で、各ドールともに決して幸せな人生を歩んでいたわけではない事を知る。
役立たずと言われたり、病気を煩っていたり、事故に巻き込まれたり、
ドールになることを定められていたり、さまざまな境遇がわかります。

ストーリー以上に、各声優さんの演技が光ります。
メインストーリーよりも、キャラの深いところの心情に近い部分の演技をされるので、
それによる振り幅がすごいので、演技が本当にいい。

シオリを演じる石原夏織さん、ミサキのLynnさん、あとヒヨの鈴木絵理さんの演技が印象的でした。
2021/10/29時点ではまだ下記のように記憶の奪還の動画配信されているので、
気になる方は動画をみてみてください。


システム面

シナリオは好みとマッチしてとてもよかったと思っています。
一方でシステムはあと少し足りなかったかなという部分があります。
ここからはこのあたりに少しだけ触れていこうかと思います。


武器とカード

武器

プロジェクト東京ドールズの武器は、素材を集めて作成したり、
イベント報酬、ガチャで特定のカード引いたときに手に入ります。

HP+500とかクリティカルダメージアップ、SP回復量アップの効果がありました。
こういった効果で武器を選んで戦略を広げるのは面白い試みだったと思うのですが、
イマイチ活かし切れなかった感じが強かったですね。

カード

カード自体は特別書くことはないのですが、
強いて言えばSR以下のレアリティが空気になっていたのが残念だったかな。
それこそゲーム始めたばかりでしか使わないので。
イベントと同時実装の新規カードがそのイベントのキーカードになるのは、
よくあることでしたが、新規カードを引けなくても代用できる組み合わせを、
探すのは楽しかったです。


共通

武器とカード共通で、残念だったのは三つあります。
「フィルタリングと検索」「自動合成なし」「合成/分解選択上限」

1.フィルタリング

まず、カードのフィルタリングについては、テキスト検索できるのはよかったのですが、
如何せんレアリティによるフィルタリングができなかったが地味に残念だった。
あとお気に入りカードのような目印を付けられないので、毎回「あのカードは......」と探さないといけない。

2. 自動合成なし

他のソシャゲだとたまにある特定のレア以下のカードは、自動合成するとか、
強化時に自動選択するみたいなものがないのでこれらも面倒だった。

3. 合成/分解選択上限

カードの強化、分解で選択できる数が余りにも少なかったかな。
どちらも倍ぐらいあってもいいような気もしていた。
特に分解は不要カード処分時の手間が掛かりすぎて、
煩雑になるので見直して欲しい部分だった。

楽曲

ドールズは作内でアイドルとして活動しています。
シナリオ内ではライブを通じて感情(フィール)を集めるために、
もっとも効率的だという設定で歌って踊っています。

メインシナリオの山場では、その時の新曲が歌われ、ストーリー展開を盛り上げていましたし、
メインストーリー外でも季節ごとの楽曲があったりと、
いわゆる音ゲーではないのに、多く楽曲が定期的にリリースされていた気がします。

アルバムも発売されましたが、まだこの記事の時点では未リリースの曲もありますが、
それらは今後発売される2枚目のアルバムに収録されるので楽しみです。

こういった楽曲はURのカードを手に入れることで、スキル発動時に聴くことができます。
このスキル演出での楽曲再生を使って、
で過去にコラボした作品の楽曲がゲーム内で流れることもありました。
たとえば、グリッドマンの「UNION」、新サクラ大戦の「檄!帝国華撃団<新章>」などです。

バトル

タップアクションゲームということもあって、わりとゲーム性あったかなと思っていました。
敵の攻撃に合わせてタップしたり、攻撃時はタイミングよくタップしたり、
やっていてそこまで苦痛ではなかった。
武器種別ごとにタップの種類(連続、タイミング、長押し)が変わっていました。

ガードは敵の攻撃に合わせてタップする形で、
サービス初期から中盤は、敵のモーションを憶えて、タイミングを計っていましたが、
途中でわかりやすい形に変更されました。

変更と言えば途中から「Auto」と「Full Auto」が実装されました。
これらは何かというと、Autoが通常攻撃と防御のみ、Full AutoはAutoの機能に加えて使えるスキルを順次使うというもの。

イベントなどで周回が必要な場合、Full Autoで高スコアが出る編成を見つけ出すことになります。
それが出来ればあとはFull Autoでイベント周回です。

そういったことができたので、個人的には周回プレイは苦痛ではなかったですね。


新宿奈落

エンドコンテンツの高難易度クエストです。
あまりやり込みはしなかったけど、攻略方法の最適解はあるんだと思うんだけど、
各ユーザーが手持ちでどうやってクリアできると試せるので、
面白いエンドコンテンツだったと思う。

最適解以外でも、
「このカードは持ってないけど、こっちのカードはあるから代わりに組み込んで、
 そうなると、このカード入れて。あと武器はこれで」
とか試行錯誤すれば、クリアできると思う。
もちろん、人権と呼ばれるカードも存在するので、それの所持有無で難易度は変わりましたね。


ガチャ

ガチャについてはいろいろと意見がある人が多いと思います。

他のソシャゲに比べたら、わりとURは手に入れやすかったんじゃないかな?と思ってます。
ガチャによっては、有償3000石で新規UR1枚確定だったり、
無償石込みでn連したら、1枚確定チケットに入るステップアップガチャもあったりです。
ただ、自分の推しキャラのURを引こうとしたら結構大変ですが......。

一時期、これはやばいなと思ったガチャが続く時期があったのが
「リアルグッズ抽選申込チケット」というものがイベントに組み込まれた時です。
これについて説明すると、
「ある新規URカード1枚につき、イベント内のリアルグッズ申込チケットの取得枚数がn倍になる」ということが起きた。
このリアルグッズ申込チケットは最低でも1枚新規URカードを持っていないと排出されない。
しかも先の仕様により、新規URを数多くゲットした方が有利となっている。
私はそこまでリアルグッズに熱くなかったので、過度にURを引こうとしなかったですが、
それでも見ていて「これはひどいな......」という状況でした。
当時Twitterで軽くハッシュタグみても、他のプレイヤーもだいぶ難色を示していたように思いました。

こういったひどい面もあったけど、
夏休み、年末年始などは新規ガチャとか含めて引けるガチャチケも
だいぶ配布があったという印象。
トータルで100連近く回せたんじゃないかな。

コラボ

作品コラボも結構していて、古いところだとまどマギだったり、
グリッドマン、アリスギアアイリス、刀使ノ巫女、
オクトパストラベラーズなど、わりと多くのコンテンツとやってます。

途中まではカードとシナリオのコラボがメインだったけど、
確か昨年2020年コラボしたニパ子のときに初めて、
コラボ先のキャラをプレイアブルキャラクターとして実装したんですよね。
これはプロジェクト東京ドールズにおいて、画期的でした。

プロジェクト東京ドールズは9人のドールがプレイアブルとして用意されていて、
それから増えることは基本的にありませんでした(後にストーリー上の展開として、Numbersが追加されました)。
そんなこともあって、コラボ先のキャラであるニパ子がプレイアブルに追加されたのは、
いろいろと可能性を感じさせてもらえるものでした。


ラジオ

音泉でラジオ「東京ドールズRADIO!―国土調査院放送局―」を、
明坂聡美さんをメインMCに、内田真礼さんには箱コーナーをやっていただいて、
多くのゲストを迎えながら、さまざまな話をしていただきました。

出演してくださったゲストの方はもちろんなのですが、
MCをしていただいた明坂聡美さんには感謝の念しかないです。

個人的には、鈴木絵理さんへの感謝も大きいですね。
鈴木絵理さん自身、プロジェクト東京ドールズをプレイしてくださっているというのもあって、
作品をちゃんと好きでいてくれているのが伝わってきました。
ありがとうございます。

ヤマダダ

プロジェクト東京ドールズによるいわゆる、VTuber企画です。
ゲーム内モデリングを流用して、キャストの皆さんにあれこれやってもらっていましたね。
個人的に印象的なのは「虚無を食べるアヤ」と「グルグルバットのヒヨ」ですね。
このあたりは面白い。

2021年11月1日追記

ヤマダ役の山村響さんがチームC「Candystar」のカバーをYouTubeにアップしています。
アレンジされていて普段と違う印象の「Candystar」ですが、こうやって聴くと改めて曲の良さがあります。
またYouTubeの「Candystar」の説明欄に響さんの想いが書かれていますが、
ヤマダ役は元々別の方が演じられていたのですが、そこから引き継いで響さんが演じてくださいました。
キャスト変更はどのコンテンツでも、新規キャストさんが不安になるものだと思います。
前のキャストの方が作ったイメージ、キャラのファン、それらを引き継いでやることになると思いますから。

キャスト変更後にヤマダの声を聴いて、声優すごい!って思いました。
それだけ響さんのヤマダはとてもヤマダでした。

ありがとうございました。


統括

個人的にはすごく楽しいソシャゲでした。
ゲームはシナリオや演技などの満足度が高かったのですが、
それ以外のところだと半年ごとのロードマップを示してくれてたことです。

こういったロードマップをみて、
「ここで新曲が来るからURだ」とか「このコラボはどこ?」、
「あー、このタイミングでこのメインストーリー終わりか」とか、
いろいろと時期がわかったのは有り難いところでした。
記憶している限りは大幅な遅延はなかったかな。
いくつか遅延はあったけど、それもそこまでの遅延じゃなかった。

ただ万人受けするには足りなかった。
コラボを入り口に新規を増やすにも、
各種イベントをやるのには、カードの総所持数が大きく関わることもあって、
新規さん向けにはキツかったんじゃないかな。

うまいことシナリオや楽曲の魅力で引き込むことができたらよかったのかもしれない。
どういう施策をおこなったらよかったのかはわかりません。

サービス終了後もオフライン版を望む声があったようですが、それも叶わないようです。
ソシャゲのサービス終了によって、オフライン版などもなくなってしまいます。
アーカイブされないことも多いです。
CS機などのように数年後思い出して触れることもできません。
本当に残念です。

近年のソシャゲ事情を考えれば4年間という時間、
サービスを継続できたプロジェクト東京ドールズはよくやったと思います。

さまざまなソシャゲをやってきましたが、
自分が夢中になれたソシャゲの1つでした。

キャストさんが出演されるオフラインイベントにも、一度は参加させていただきました。
メインストーリーの完結を見届けられなかったこと、
さまざまな楽曲を持ちながらライブイベントが出来なかったことなどは
悔しいところはあります。

またプロジェクト東京ドールズの公式Twitterで最後のオフラインイベントの告知、
しかも配信ありなので楽しみにしています。
これは本当に嬉しいサプライズです。


スタッフさん、キャストさん、本当にお疲れさまでした。