名前はまだない。 FLY ME TO THE MOON 第3話「名前のない怪物」 このエントリーをはてなブックマークに追加 名前はまだない。 FLY ME TO THE MOON 第3話「名前のない怪物」

FLY ME TO THE MOON 第3話「名前のない怪物」

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岩笠の娘に飲ませた薬は「蓬莱の薬」。
かぐや姫が月に帰る時に、帝と翁に渡した薬。
それを捨てるように言われた岩笠が、娘のために持ってきたもの。

父として娘に死んで欲しくない。
長く生きて欲しい。
それは親が子に抱く愛だと思う。

でも、娘は、病気に苦しんで死んだとしても、幸せだった。
人を救い、家族に見守られて死ぬなら、誇らしい人生だった。

岩笠の娘は、永遠の命なんて欲しくなかった。

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噂というのはあっという間に広がるもので、
岩笠の娘が不死の力を手に入れたちというのが広がった。

その結果、トニカクカワイイ141話で少しだけ出てきた話として、
「不死者の肉を食べれば、どんな病気も治る」
というものがある。
それを岩笠の娘が体験することになる。

万病に効く。しかも、相手は不死者。
極端な話、肉を削ごうが、切り落とそうが、生きているわけだから、
それを確保しておけば、自分たちは困る事がない。

だったら、不死者である、岩笠の娘を捕らえることに躍起になる。
そんな彼らをみて、自分が救おうとしていたものの醜さを知った。
この時点で、岩笠の娘は、人間に対して諦めの感情を持っていたと思うんだけど、
それがどういう経緯で緩和されていくのかな。

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岩笠本人は、帝を騙して「蓬莱の薬」を手に入れたことで、
帝の命によって、殺された。

岩笠は死ぬ間際、どう思ったんだろうか。
たぶん彼自身は自分が死ぬことに後悔はなかったんだろう。
ただ「永遠の命なんて欲しくなかった」と言っていた娘に、
どんな念を抱いていたんだろう。
娘への謝罪、そしてそれでも生きていて欲しいという思いだろうか。


不死者である岩笠の娘は、自分を捕らえようとする人たちに抵抗した。

死なない。
傷はスグに治る。

そんな人を越えた力を持っていれば、
どれだけの武器を持って向かってこられても、
抵抗することが出来る。

どうせ相手は、自分を殺すことができないんだから。

そうして彼女は自分が怪物になったと悟った。

今回のタイトルが「名前のない怪物」
EGOISTの楽曲だけど、ぴったりだな。
まだ作内では「岩笠の娘」であり名前もなく、
不死者として人から外れて、怪物になったんだから。

次回は32ページと多いんだけど、どういう話がくるのか。
そろそろ、岩笠の娘に名前と目的を与える誰かが出てきてもいいと思うけど......。


トニカクカワイイ (15) コミック 2021/4/16