よふかしのうた 第64夜「あなたと過ごした数年間」
七草ナズナは、生まれついての吸血鬼。
誰かの眷属だったわけではない。
コウが気にしていたように、昔誰かに好意を抱いて眷属になったわけではない。
ただ疑問はナズナが昔の事を覚えてないのはなぜか?
それに対するカブラの答えは「幼い頃の記憶を思い出せるか?」というもの。
カブラが、ナズナを初めてみたときから、今の姿だった。
産まれてから数年しか経っていないのにだ。
このカブラの答えで、
ハルがカブラにナズナの面倒を見るようにお願いしたのが、
どのぐらい時間が経ったのか不明だったけど、
それほど時間が経っていなかったのがわかった。
あとナズナが持っていた病院の診察券は、
カブラがナズナに病院で吸血鬼用の血を与えていた時に、
気まぐれで作ったもの。
カブラは話すことは話したから、話を切り上げた。
ナズナの顔を見てると、嫌なことを思い出してイライラする。
ナズナと過ごした数年間、ずっと苦痛だった。
と不快感を出した。
元々ナズナとコウが病院を訪れた目的は、
ナズナが人間だった頃のことを知って、
弱点について対処すること。
ナズナは、生まれついての吸血鬼だから、弱点になるものはない。
つまりナズナは、鶯餡子に対して、対抗策になるんかな。
餡子が持っている吸血鬼を殺す方法は、
人間が吸血鬼化したケースのもの。
純粋な吸血鬼の殺し方を知ってるかはわからないな。
コウはカブラの態度に引っかかっていた。
なにかウソをついているのではないか?
特に「ナズナをみているとイライラする」という点。
コウからみて、カブラはナズナに対して母親みたいな素振りもみせていた。
それ自体をカブラは否定しなかった。
そういう部分もあった。
けど、それがカブラの全てではない。
カブラは七草ハルの眷属。
つまりハルに好意を抱いていた。
そんなカブラが、ナズナの面倒をみるというのは、
「母親みたい」という簡単なものではないんだろう。
病院からの帰り道。
ナズナはカブラがウソを吐いてないと言った。
ナズナがいうように、
惚れた相手の子供の世話を頼まれ、
顔がそっくりときたら......複雑だろうよ。
ナズナからしたら、殺されなかっただけマシ。
ただ今回の一件でわかったことがある。
ナズナはずっとカブラに髪を結んでもらっていた。
ナズナとカブラの関係は思ったよりも歪んでるけど、
思ったよりもお互いを大事に思ってるんだな。