よふかしのうた 第43夜「俺はあんたの考えを肯定できない」
自分が本当に吸血鬼になりたいのかわからなくなったコウは、
吸血鬼について知る必要が出た。
じゃあ、誰に聞くか。
吸血鬼か?
いや、吸血鬼に詳しい人間、つまり鶯餡子。
餡子を呼び出したけど、当の餡子は自分がナンパされると思っていた節がある。
でも、餡子はつかみどころがないから冗談なのか本気なのかわからない。
コウの最初の質問は自分のことをどこまで知っているのか。
どうして「吸血鬼になりたい」というのがバレたのかが気になっていたんだろう。
それ自体は簡単推理。
餡子は吸血鬼について調べていて、最近1人の人間が吸血鬼と仲良くやっていると聞いた。
そんな時にコウにあって、首筋に噛まれた後があるのに吸血鬼化していない。
吸血鬼化してないのに何度も血を吸わせているから
「吸血鬼になりたい」という願望があるというのが、餡子の推理。
でも、彼女にとってその推理が間違っても特に問題無い。
餡子は「なんで吸血鬼になりたい」ということに否定的なのか。
そもそも吸血鬼化を肯定できるものだと思っているのかという点で、
コウはズレてるんじゃないかな。
「吸血鬼は人にとっての悪だからに決まっている」
というのが餡子の答え。
人が人を不幸にするのは仕方がない。
けれど、人以外の存在に人が不幸になるのが許せない。
餡子から見て、コウが吸血鬼になれるとは思っていない。
かなりの数、吸血鬼と接触しているのにも関わらず、
それでもコウはまだ恋をしていない。
そもそも恋愛感情そのものが欠落しているのではないか?
吸血鬼に恋をしないと吸血鬼化できない。
吸血鬼になれない人間は殺される。
そんな人間を連れてきたナズナの身も危ないのではないか?
そうやってコウに迫る。
人として生きるか、吸血鬼になって自分に殺されるか。
どっちかを今決めろと。
方法自体は教えられないが、餡子は吸血鬼を殺せる。
だから、もし、コウが人間のままでいることを選ぶなら、
コウを殺しに来るであろう吸血鬼も殺す。
餡子の話を聞いても、コウはそれを肯定できない。
コウが関わってきた吸血鬼は、餡子が言うほど悪だと思えないし、
人間みたいに悩んだり、人に敬意があるように思える。
だから、餡子が言うことを肯定できない。
コウは吸血鬼にならないとは言わないし、吸血鬼の危険性について
説明してもコウが納得しないから、餡子は手っ取り早い方法を取った。
深夜徘徊している中学生がいると警察に連絡した。
連絡自体が嘘かホントかは重要じゃない。
餡子の行動によって、
コウは警察やパトカーを見かけたら自分を補導しにきたのではないかと、
考えてしまう。
その効果が出れば問題無い。
結局、コウは自分が聞きたかったことはなにも聞けてない。
どうやって吸血鬼を殺すのか。
何で鶯餡子の血はまずいのか。
などなど。
なにも聞けなかった。
ナズナに頼るわけにもいかず、公園に隠れていると久しぶりに登場のハツカ。
タイミングが良いから偶然ではないかな。
やっぱり、鶯餡子が登場してから、「よふかしのうた」はピリピリして、
面白いな。
小学館 (2020-04-16)
売り上げランキング: 94