よふかしのうた 第42夜「今日ウチ親いないんだよね」
普段、血を吸うなら、ナズナの部屋だったり、外だったりするんだけど、
今回はナズナがコウの家にやってきた。
ただの好奇心だよな。
コウが自宅の様子を確認してナズナを呼び込むが入ってこない。
一応吸血鬼の伝説上「人の家には招かれないと入れない」というのがあるので、
それか!と思ったけど、そんなことはなかった。
あくまで伝説は伝説で、実際は普通に入れる。
年頃の男の子の部屋に入ったら、まずすることはエキサイト本探し。
やめてあげて!
なお、隠したとかではなく、本当にコウはそういったエキサイト本は持っていないらしい。
あとご両親がいないのは、母親は仕事で不在、父親は離婚していていないという事情らしい。
つまり、「今日、ウチ、親いないんだよね」の状況だ!
コウは自分の部屋にナズナがいる状況が落ち着かない。
まあ、普段いない人が自分のテリトリーにいるんだから、ソワソワするわな。
別にナズナはエキサイト本を探しにきたわけではない。
彼の悩みについて話にきた。
ナズナは先日のコウの態度から、吸血鬼になることに対して気が変わったのか?聞いた。
コウが悩んでいることは血を吸わなくてもわかる。
彼が話した、血を吸わない吸血鬼、友達、吸血鬼を殺せる探偵、
これだけの言葉がでてくれば、事情はなんとなくわかってしまうか。
ただナズナから言わせれば普通は悩まない。
吸血鬼になることを諦めて、友達を取る。
けど、コウはどうしたらいいか悩んでいる。
マヒルに吸血鬼になんでなりたいのか?と聞かれて、
自分の気持ちが揺らいでいるから。
コウは夜が自由だから楽しいと思っている。
けどそれは「非日常」を感じているから楽しい。
夜に出歩くことはナズナと出会う前のコウにとって「非日常体験」であったけど、
今ではそれが「日常化」している。
真新しかったこと柄が今では当たり前になりつつある。
そうなることで以前よりも刺激が低下していることになる。
ナズナは「吸血鬼なんて退屈なだけだよ」という。
吸血鬼になってから時間が経ってるけど、薄い毎日を時間が過ぎるのを待っているだけ。
確かにそう言われてしまうと、あまり楽しくはなさそう。
吸血鬼になって自分が消費可能な時間が莫大に増えてしまえば、
いろいろなことが新鮮さを失うだろうし、楽しめなくなるか。
じゃあ、なんで、コウに楽しいことだけ教えたのか。
ナズナ自身がそうありたかったから。
コウの悩みの答えはスグには出ないだろうから帰ろうとしたナズナを引き止めたけど、
気が付いたらベッドに押し倒す形になっていた。
戸惑うコウに手を伸して、顔を近づけるナズナがキスをするのかと思ったら、違った。
なんなら血すら吸わなかった。
代わりに首筋の傷痕を舐めて帰った。
......ナズナさん、それはコウの性癖が歪む。
小学館 (2020-04-16)
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