ハヤテのごとく!というマンガがあったんです。 このエントリーをはてなブックマークに追加 ハヤテのごとく!というマンガがあったんです。

畑健二郎先生の「ハヤテのごとく!」という作品があったんです。
簡単に紹介すれば、
両親に借金を押しつけられた綾崎ハヤテが、
お金持ちの三千院ナギを誘拐しようとしたことから、
始まった勘違いの恋の話。
コンパクトにまとめるならこんなところでしょう。
連載期間およそ13年、全568話、コミックス52巻という長期連載作品です。

私もブログで感想を書き続けて、だいたい10年、最後まで追いかけることができました。
また二度、作者の畑健二郎先生にインタビューをさせていただき、
同人誌も出すことができました。
今でも「ハヤテのごとく!」という作品が好きです。

現在、畑先生は「トニカクカワイイ」という「イチャコメ」全開のマンガを週刊少年サンデーで連載しています。
こちらも口の中に溢れてくる砂糖をかみ砕きながら読んでいます。

さて、この記事は、ハヤテのごとく!という作品の感想を今更書くわけではなくて、
現在連載中のトニカクカワイイやTwitterで見かけるハヤテの話、
あとはなんとなく自分の中にあるものをアウトプットするのが目的です。

私がハヤテのごとく!を再読しない理由

ほとんどの人が「お前の再読しない理由なんてどうでもいいわ」でしょうが、
単純にアウトプットです。
何事も言語化することは大事です。

さて、ハヤテのごとく!は好きな作品だから、連載が終わってから手に取るのかなと思っていました。
実際、2017年の8月までは同人誌作成作業のために、全話を何度も読み直していました。
ですが、同人誌を無事に頒布できて以降は、一度も再読していない。

別に作品を嫌いになったわけではない。
単純な話として、自分の全てを2017年に製作した同人誌に詰め込んだということ、
また「ハヤテのごとく!」とともにあった時間は美しいままにしておきたいという点に限る。

もし、今、1巻を手に取ってページをめくり、長い時間を掛けて全52巻を読み終えたら、
以前とは違った感想を持つかもしれないし、または同じ感想を持つかもしれない。
どうなるかわからない。

とりあえずは、今はまだ、思い出は思い出として残しておこうと思っている。
こういうものはいつか気が向いた時に、本を手にとってみたらいいんでしょうね。

読者が求めているものと作者が描きたい結末

「ハヤテのごとく!」は、畑先生が予め作内カレンダーで何月何日にどういうイベントが決めており、
最初から最後までの大きなストーリー展開も決まっている作品でした。
「暫定最終回」という、物語が途中で完結した場合のエンディングというのも決まっていた程です。

それだけ「ハヤテのごとく!」というのは、畑先生が話を決めきっていた作品です。
つまり、王玉の話もミコノス島の話も同人誌編も、ある程度は畑先生の中にあった。
カレンダーがあるから物語の展開上発生することが決まっていたとも言える。

で、ネットでハヤテの話を見ると、よく見かけるのが、
1.ハヤテの過去編/ミコノス島編で読むのをやめた。
2.同人誌編で読むのをやめた。
3.バトル要素が入ってきたからやめた。
という話。

これが全読者の何割の意見なのかはわからないけど、
連載時の体感的には「ハヤテの過去編/ミコノス島編」、あと「同人誌編」あたりで、
読むのをやめた人が多かったと思う。

途中脱落してしまった人たちを悪いとは思っていない。
マンガに何を求めているのかは人それぞれだから。
求めているものと読んでいるマンガが乖離しはじめたら、
読むのをやめるのは当然です。

結局、読むのをやめてしまった人たちが何を求めていたのかというと、
ラブコメ要素だったんですね。
ラブコメを求めていたのになんでバトルとかやるんだ!とか、
引っ越ししてから面白くない。
王玉とかどうでもいいから。
そういうのはその読者が、ハヤテのごとく!という作品をどういう作品で捉えていたのかとか、
どういう理解をしていたのかという話なんだと思う。

畑先生が描きたい結末へ行くには、ミコノス島編も同人誌編も必要な要素であった。
それに対して、読むのをやめていった読者が求めているのは「ラブコメ要素」だった。
途中途中でラブコメ要素を増やすことはできただろうけど、
ある程度決まっているストーリー展開上、思い切った舵を切ることは難しかったのではないかと思う。
多少、日常回でラブコメ的なことやコメディ的な話はしていたけど、
それでもやらなければならないイベントがあるので、物語の間に増やしていたんじゃないかな。

-補足
以前、インタビューでお話を伺った時は、
ミコノス島編とかでもサンデーの誌上アンケートの順位は
上位のまま変わらなかったみたいです。

トニカクカワイイは砂糖を調整している

ハヤテのごとく!でストーリーを結末まで決めてスタートしているのに対して、
連載中のトニカクカワイイは、恐らく違うのではないかなと思っている。

週刊連載というのはライブ感というか
やはり毎週の積み重ねで作られていく部分があり
この話を描いて、ようやくナサ君のキャラクターを
掴んだ気になったりしたわけです。
サンデーまんが家BACKSTAGE|畑 健二郎 Vol.437

上記のようにBSで畑先生は「ライブ感」という言葉を使っている。
おそらく畑先生は、トニカクカワイイにおいては読者の反応を見ながら、
話の展開を変えている。

畑先生のTwitterにおける感想リツイートの多さから窺えるようにだいぶエゴサしてますね。
リツイートしていない感想もだいぶ目にしていると思うので、
ネガティブな読者の反応も見ているとは思う。
けど、ポジティブな感想の読者がどういう部分で反応しているのかを
確認していると思う。

どこまでのイチャコメを読者が求めているのかで、話の中に入れる砂糖を調整して、
ナサと司のイチャイチャの甘さを加減している。
ただ、ちょっと心配なのは、メインストーリーに関わる部分が動き出した時かな。
トニカクカワイイは「イチャコメだけを読みたい」っていう声が非常に多いのでその反動が来そうということ。

ラブコメとイチャコメの着地点

トニカクカワイイとハヤテのごとく!では、畑先生の話の作り方が違うだろう。
というのを書きましたが、そもそも話としてラブコメとイチャコメで着地点が違う。

ラブコメって、主人公と複数のヒロインがいて、それぞれのヒロインとのエピソードを
展開しつつ、最終的にどのヒロインを選ぶかというエンディングに向かっていく話だと
私は思っています。
いわゆる「恋愛」の疑似体験ですね。
しかもハーレム系の。

それに対して、トニカクカワイイというイチャコメは、
既に本命となるヒロインは確定していて結婚するところからスタート。
つまり、ラブコメの「ハッピーエンド」のその先にあるものです。

トニカクカワイイにおいて、
これからどんな女性キャラクターが出てきても、
そのキャラクターたちとナサの仲が恋に発展することはないです。
周りのキャラクターたちを通して、ナサや司が二人の仲について気が付く手がかりにはなるでしょうが......。

イチャコメの着地点ってなんだろう?と改めて考えてみてもわからない。

そういえば、畑先生はBSでこんなことを言っています。

一応、僕の中では
愛と命について、描きたいテーマのようなものが
あったりするのですが、
それを出す隙がないほど
この漫画はとてもシンプルな漫画です。
サンデーまんが家BACKSTAGE|畑 健二郎 Vol.434

愛についてはトニカクカワイイの作内で描かれている部分が多いとは思うけど、
命という部分はまだそれほど描かれていない。
夫婦がいて、命となると、次の世代に繋ぐ子供の誕生なのかなと思うけど、
本当にどうなるかわからない。
あと、単純に少年誌なので、どこまで何を描くかというのもあると思う。

トニカクカワイイはどういう結末と着地点になるのか楽しみにしてます。