自分が侵蝕されていく恐怖 空ろの箱と零(ゼロ)のマリア2 このエントリーをはてなブックマークに追加 自分が侵蝕されていく恐怖 空ろの箱と零(ゼロ)のマリア2

空ろの箱と零のマリア〈2〉 (電撃文庫)

とりあえず、ネタバレ含んでます。
前回が「同じ日を繰り返すループ」だった、それに対して今回は「他人格に主人格が侵蝕される』かな。
今回は"箱"の持ち主が誰かというのは意外とすぐにわかった。
まあ、新キャラ2キャラがね。

七日間の間に、徐々に一輝が"箱"の所有者に身体を奪われていく。簡単にいえば、本来は一輝の身体に、一輝自身と"箱"の所有者の人格があって"箱"の所有者が一輝の身体を占有する時間が延びていくということ。
つまり、最後には一輝は自身の身体が"箱"の所有者に乗っ取られる。

身体を奪われる一輝が本物か、ニセモノか。それは一輝自身にしかわからない。
だから、マリアは一輝を信用しなかった。
外見だけみれば、『一輝』は『一輝』なんだけどそれは他の人からみたら、わからない。
だからいかにして、マリアと一輝が連携取っていくのかという楽しみもあった。

所有者にいきついてからは、如何にして"箱"「泥の中の一週間」を取り出すのかになる。
非常に感心したのが、マリアが一輝が一輝であるという見分け(マリア自身は表情筋の動かし方やらで区別してたけど)ができないように、所有者の協力者が一輝の中身が『一輝』であるのか『所有者』であるのか容易には判断できない。
最初の段階では、一輝と所有者の間で記憶の共有がなかったから、あれこれと策を練ってたけど、それもだんだんと意味をなさくなった。
それに加えてマリアからすれば、いつどの時点で『一輝』と『所有者』が入れ替わるのかを知らないから、前述のように信用はできない上にあまり作戦的なことも口にできない。
所有者の協力者からしても同じ条件かと思ったけど、所有者の協力者は『一輝』と『所有者』が入れ替わる時間を知っている。
これは大きいな!と思ったけど、それしかないんだよね。

所有者たちにされたことを、一輝がやろうと言い出したときは驚きもあったけど、それ以上一輝はかなり残酷になれるんだなと驚きを覚えた。

あとは、"箱"に関すること。
外側タイプと内側タイプ。
内側タイプは1巻の"拒絶された教室"、外側タイプは"泥の中の一週間"。
内側タイプは願いを叶えられる空間を創造する。
外側タイプは現実世界で作用する。

外側タイプがめんどうなのは、内側タイプだと"箱"を壊せば元に戻るが、現実世界に作用するため"箱"をどうにかしても、
起こってしまった変化は元には戻らない。

だからこそ、今回一輝が失った主に人間関係は戻らないことを知った一輝の絶望は凄かったな。
でも、"拒絶された教室"で過ごしたマリアとの絆は改めてスゴイと感じさせられた。
前回も今回も、"箱"は所有者の願いを不出来にと言うか、残酷に叶えるな。

2巻の最後の醍哉の言葉は凄く気になる引きだ......。

空ろの箱と零(ゼロ)のマリア (電撃文庫)
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