よふかしのうた 第81夜「ちゃんと持っててね」
目代さんは両親から、誕生日だから何か欲しいものがないかと聞かれたけど、
父親が帰ってきてくれただけで十分だった。
でも目代さんの気がかりは、自分が父親にあげたライターをどうして使ってないのか。
その答えは、簡単で、でも、理解できることだった。
もったいなくて使えなかった。
元々、モノを失くしやすいらしくて、
そういうことで失くしてしまったら、もったいない。
たぶん、それもあるし、娘からのプレゼントを使うのがもったいないというのも、
あったんじゃないかな。
自分がプレゼントしたライターで、父親のタバコに火を点けた。
それだけみたら、いいシーンだと思う。
でも、そんな簡単にこのまま時間が経つわけでじゃない。
父親が、目代さんがくれたライターを手に取ると落としてしまって、
さらに目代さんが握らせると強い拒絶反応をして、
目代さんの顔を殴った。
この反応は、吸血鬼が人間だった頃の物に触れたときと同じ症状。
つまり、もう父親は眷属になっていた。
父親は、娘の顔を殴ったことに腹を立てる母親の血を吸った。
加減もなく食欲を満たすために、血を吸った。
自分の血を吸われそうになったところで、
父親がおかしくなったキッカケを考えた。
それがライターに触れたことだったことを思い出した。
どうしてライターに触れると父親が苦しむのかわからないけど、
ただ、ライターに何かがあるからそれに頼るしかなかった。
ナズナが目代さんの家を訪ねた時に、そこにあったのは
憔悴した目代さんと母親の遺体だった。
目代さんがナズナのことを「吸血鬼」と呼んだいることから、
彼女は「吸血鬼」を憎んでいるんだろうし、
人間と敵対するものだと認識したんだろうと思う。
これがキッカケで、ナズナと目代さんは決別するんだろう。
あと今回の話があったとなると、目代さん、吸血鬼を殺す側に回ってて、
今後、ナズナと敵対する可能性もあるかな。
そういえば、
やっぱり吸血鬼ってすげぇや。よふかしのうた 第78夜「浮気ってなんでだめなの?」 - タカヒナの日常境界線で書いた。
目代さんのお父さんをみて気が付いたけど、この人って
第38夜「吸血鬼って知ってるかい?」と、
第39夜「あなたは人のまま死ぬ」(ともによふかしのうた4巻収録)に出てきた
あの吸血鬼じゃないか?
これはちゃんと外れましたね。
外れて安心した。
でも、やっぱり、眷属になった自分の父親を殺した目代さんを考えると辛い。
あと父親が目代さんの家に戻ってきたのも、
彼を眷属にした吸血鬼が、血の味を覚えさせるために指示したのかもしれないのか。