トニカクカワイイ第146話「愛と命について」
ナサはいなくなった司を教会で見つけた。
なにか声を掛ける前に、司から結婚指輪を返された。
それは二人の関係性を解消して、司がナサから去るということ。
司にとってはやっぱり出会った日のことを覚えていないことが大きい。
ナサが本当の自分を知らない。
だから、司の秘密を知ったら、ナサが今と今までと同じ気持ちでいてくれるのかわからない。
きっとナサは自分のことを好きにならない。
それは司が得た思い出と、ナサを失うことになる
そんな結末になるなら、なにも求めずにいることを選ぶ。
だから司はナサにお礼を言って去ろうとした。
ここでナサは司を引き止めないといけない。
そうしないと、もう二度と司に会うことはできない。
時子さんから言われた最後の言葉
「あなたなら、上手くやれる」
それを信じてナサが司に宇宙の話を聞いて欲しいと言った。
宇宙の話を持ち出すのは、とてもナサらしいよ。
この世界には、物質を相互作用させる力がある。
強い相互作用、弱い相互作用とかそういうやつだね。
引かれ合う力はあるけど、宇宙は光速を越えて膨張している。
膨張する速度はいつか重力の力を越える。
そうなると形を維持できなくなり、バラバラになる。
それはなんであってもそう。
星と星、物質と物質。
存在するもの全ての距離は離れていく。
そうなるといつか宇宙は消滅する。
たとえ、いつか離れてしまうとしても、
それでも強い力で互いが引き合うからこそ
この世界はかけがえもなく美しい。
抗えない運命であっても、決して手を離さないで。
強い力で引き合うから、二人の間に愛と命が生まれる。
ナサは何があっても司を離さない。
二人の愛を生むために。
ナサが紡いだ言葉で、去り行く司を引き止めることができた。
一連のちゃんとしたセリフは本誌を読んで欲しいけど。
ナサが司に言った言葉が、真実を知っても司のことを好きでいるという答えだと思う。
特に
「いつかは離れてしまう悲しい運命でも
強い力で引き合うからこそ...
この世界はかけがえもなく美しいんだ」
これは司がこれまで体験してきた喪失や悲しさを
包み込むものなんじゃないかな。
ナサと司のあいだにある強い力に名前をつけようと思えば、
いくつか候補はあるだろう。
けど、それを挙げるのは野暮だろう。
そして
「君の願いは......僕が必ず叶えてみせる」
ナサが失った記憶の中で言った、この言葉をもう一度ナサが口にしたことで、
忘れていたことを取り戻した。
次回はついに司の秘密が明らかになる大ボリュームの37ページ。
もうすさまじいな。
来週の話を読まないとわからないところはあるけど、
司の秘密を知った後に、二人は司が抱えるものを乗り越える物語になるのかな。