初恋限定。ハツコイリミテッド 第22話 コノハナサクヤ 2／3 〈ほころんで、いろづいて〉

美術部に顔を出したことで由紀人は、美術部内で人気者に。
桜の絵を描いた人ということで、以前から憧れを抱いていた人が多いのだろう。
絵のチェックを頼まれたり、卒業後の進路について聞かれたり。由紀人は卒業後は、海外に海外にいくことになっている。
由紀人に絵を見てもらっていない千倉さんは申し訳なさそうに、絵の指導をしてくれないかと切り出す。
元々、真面目な千倉さんだから、自分の都合で相手を煩わせるということに抵抗があり、また憧れの人だと言うことで、余計に緊張したんだろう。
そんな緊張している千倉さんに、由紀人は自分から言い出したことだから、そんなに済まなそうにしないで欲しいという。

いつもは完成が待ち遠しい。
けれど、今だけはこの絵が描き上がらない事を願っている。ずっと由紀人の横に自分がいられるように。
そう思いながらも、時期は期末試験。あとは一人で描けるよね？と由紀人の提案。
でも、千倉さんにとっては期末試験よりも、由紀人に絵を教わる時間の方がずっと大事。
なんだか、前回、今回でだいぶ千倉さんの株が上がってきたぞ……。

例によって、曽我部君が千倉さんと由紀人の会話を聞いていたわけで。……偶然か？　それとも必然か？

とりあえずな。曽我部くん……鏡見ようぜ？！
自分のことを見つめ直すのは必要だと思うぞ。
そういえば、千倉さんと同じ部活の財津衛はというと……。
山本さんに振られてめちゃくちゃ落ち込んでる！
まあ、そういうこともあるさ。

美術室で由紀人と絵を描いている千倉さんは、由紀人にどこの国に留学するのかを尋ねる。
正確に言うと由紀人は留学をするだけではない。海外ボランティアとして活動して、生涯いろんな国の子供達と絵を描く。
それが卒業後の由紀人の選択で、夢だ。
彼の夢を聞いて、千倉さんは驚きと戸惑いがあったんじゃないかな。「生涯」という言葉の重さが、彼女の気持ちにどこかのしかかったんじゃないかな。

帰り道、偶然っぽく曽我部くん登場。そして、途中まで話ながら帰ることに。千倉さんは由紀人の話をする。千倉さんに思いを寄せてる曽我部くんからすればあまり聞きたくないことだけど、それでも彼女の話を聞く。
勉強がすごくできて、それでも進学しないでボランティアの道を選んだこと……もう日本帰ってこないかもしれないことを。
どうにか慰めようと口を開くも、曽我部くんには彼女にかける言葉がなかった。

それでも、彼女はまた明日と言ってくれた。
心が落ち着かないときは、誰かに話を聞いてもらうと気持ちが落ち着くからね。

由紀人の学校で卒業式があった日も絵を描いていた。由紀人は今の絵を仕上げるつもりだった。でも、後は最後に残っ桜の花を塗れば完成。
けれど、由紀人は複雑な表情。

ああ、千倉さん。中学生には見えないほど、どこか大人っぽいですよ？
由紀人は彼女の言葉に心を動かされたのだろう。
開帝高校という進学校にいながら、進学せずに海外ボランティアの道を選んだ彼の夢を、
両親も友人も、先生も誰も応援してくれなかった。
けれど、千倉名央という一人の中学生が応援してくれた。

どうしようもなく、それが嬉しかったんだろう。

千倉さんと別れた由紀人は一人美術室へ向かう。
おそらく翌日には由紀人は自分の夢の為に旅立つのだろう。

さて、こうなってくると由紀人一人で仕上げるのか。それとも仕上げることをせずに、千倉さんに任せるのか。
でも、前回の始まりでは、完成しなかった一枚の絵と言ってるんだよな。
あの言葉が、由紀人がいなくなったその日のものか、それとも……。

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「初恋限定。」をただひたすら読む。 第22話 コノハナサクヤ2/3＜ほころんで、いろづいて＞
こーゆーのを読んでるッ！！ 河下水希　『初恋限定。』　第22話「コノハナサクヤ2/3〈ほころんで、いろづいて〉」感想。