トニカクカワイイ第252話「不死と不死」

結局、真魚は大学を辞めて山岳修行に入った。

司はそれを止めたい。
でも、両親の想いや出世さえ捨てて、己の信じた道を行くと決めたのだから
止めてやるなという。

一見すれば、その言葉は聞こえがいい。
それはなにかを成し遂げることができたなら、美談になるよ

司はこれまでの長い時間、たくさんの無念を見てきた。
どんなに高尚な目的があっても、死んだら終わり。

それを司がよくわかっている。

真魚が「虚空蔵求聞持法」を開始して52日目。
真言(マントラ)を一日一万回唱えるのを、
そんなに続けてるのがもうすごいよ。

真魚がやりたかったのは不死の力を見つけたい。
そのために世界にある知らないことを知りたい。

もしかしたら「知らないこと」の中に不老不死に関するものがあるかもしれない。

不老不死になって司に寂しい顔をさせたくない。

長い時間を生きることは、たくさんの背中を見送ることだし、
たくさんの後悔を抱えることだと思う。

いくら人と交流しても、究極的には孤独だもんな。

真魚はそんな司を救いたい。

いつか月に辿りついて、蓬莱の力を解除して、人として死にたい。
そんな悲しい願いじゃなくて、生きてほしい。

真魚がそう思うのはわかる。

トニカクカワイイ (25) (少年サンデーコミックス) コミック 2023/9/15