よふかしのうた 第52夜「それは僕らの時間じゃない」
前回、東京にやってきた、コウとナズナ。
その目的は恋愛の研究。
東京であれば、その恋愛の形は多種多様。
同世代同士、年の差、様々あるしから、恋愛の形も違ってくる。
研究する目的は、ナズナもコウも恋愛が分かってないから。
恋愛している人たちの姿勢からその姿勢を学ぼうというもの。
コウの疑問は「ナンパは恋愛から遠いのではないか?」だった。
言わんとしてることはわかる。
ナンパに成功して即ホテルな連中はどうなのか。
即ホテルであれば、そこに恋愛感情が絡むことはなく、いきなり肉体関係になる。
そこだけ切り取れば不純。
しかし、それをキッカケに恋愛関係に発展したら、それは不純なのか。
肉体関係から始まった関係というのは、ナズナとコウの関係にも言える。
吸血鬼に取っての吸血行為は、食と性の意味を持つ。
つまり、コウはいきなり吸血され、その後恋愛関係になろうとしている二人の関係は、
ナンパから即ホテルとなったのと変わらない。
......そういわれるとなんか嫌だな。
さまざまなタイミングが重なれば、それはドラマになり、心を動かす。
だけど、人生にドラマなんてものはない。
それでも恋愛というのは成立する。
コウにとって、恋愛はドラマのような何かと考えていた部分もあるけど、
そんなことはなくて、案外身近にもあるものなんだという
気づきを得られた。
その後、夜の動物園に忍び込んだ。
ただ夜ということもあって、動物たちをハッキリとみることはできなかった。
先週、コウが口にしていた「東京への憧れの話」をナズナが持ち出した。
コウは東京に憧れはない、じゃあ、地元が好きなのか?
けど、コウは別にそういうわけではない。
ある時期になると「東京にいくか、地元に残るか」という話は出る。
それを考えるとコウは地元を選ぶ。
地元が好きとかじゃなくて、東京にいく理由もないから。
でも、今は、理由があって、前向きに地元に残りたいと考えている。
それはナズナと出会った場所だから。
帰ろうとかと提案したナズナに、何気なく言おうとしてやめた言葉ある。
「いつかは昼間に」
けど、それは二人の時間じゃない。
夜が二人の時間なんだから「昼間」は違う。
コウがそれを言いかけてやめたというのは、
どこかでコウはナズナと一緒に「昼間」を過ごしたいと思ってるんだろうな。
吸血鬼になるというのは「昼間」を捨てることでもあると思うが......。